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最高裁判所第一小法廷 昭和23年(れ)755号 判決 1948年11月04日

主文

本件各上告を棄却する。

理由

被告人両名辯護人久保田由五郎上告趣意第一點について。

公判廷は判事、検事及び裁判所書記列席してこれを開くべきことは刑訴第三二九條第二項の明定するところであり、また、公判調書には判事検事及び裁判所書記の官氏名を記載すべきこと並びに公判調書には裁判長裁判所書記と共に署名押印すべきことは刑訴第六〇條第二號第六三條第一項の明定しているところである。そして、記録によれば、原審第一回乃至第三回公判調書のいづれにもその冒頭に「東京高等裁判所第一刑事部法廷で裁判長亀崎弘尚(中略)列席の上公判を開廷した」と記載せられその末尾の裁判長判事の下には亀崎弘尚の署名と亀崎の押印があることは明かである。それ故刑訴第六四條の明文に照してみても本件原審公判に裁判長として列席した判事は他に特別の事情なき限り亀崎弘尚であると認めることが相當である。次に公判期日を指定した裁判長たる判事が現実に必ず公判に裁判長として列席するとは限らない。從って、辯護人が疏明として提出した公判期日召喚状に裁判長として記名押印した判事は小中公毅であるがただそれだけで直ちに所論のごとく公判に列席した裁判長たる判事は同人であって亀崎弘尚ではないと速斷することは甚だ早計である。本件においては他に前記各調書が虚偽又は偽造であると認むべき形跡は全然存在しない。されば原判決には所論のような違法はなく論旨は理由がない。(その他の判決理由は省略する。)

よって刑訴第四四六條に從い主文のとおり判決する。

この判決は裁判官全員の一致した意見である。

(裁判長裁判官 沢田竹治郎 裁判官 真野毅 裁判官 齋藤悠輔 裁判官 岩松三郎)

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